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「姿勢」は
「姿(かたち)」
と
「勢(ようす)」
という二文字からなる言葉です。
「姿勢」とは、
その時々における身心の
構えやその様子
を伝えています。
●姿勢文化の素晴らしさ
千年をこえる時の中で、脈々と息づいてきた日本の
「姿勢文化」。
それは単に“立ち居振る舞い”や“躾”といった礼儀作法だけを伝えてきたのではありません。生活という実践の場で活かせる美しく壮健で、しかも効率的なカラダ使いの粋がそこにあるのです。
古事記や日本書紀のなかに、しばしば礼儀作法に関する記述が見られ、 我が国では、このころから姿勢文化が芽生えたと考えられます。鎌倉時代初期には、
礼儀作法としての姿勢観が、身体能力を高めるための実践法として発展しました。
国技である相撲はもちろん、弓道・剣道・柔道・空手道・華道・茶道・能・歌舞伎などの 武芸や芸能・文化はすべて「姿勢」を事始としています。日本はまさに姿勢文化の国なのです。
明治以前には「姿勢/しせい」という言葉はなかったようです。
明治時代、時の文士がKörperhaltung(ケルパーハルツング)というドイツ語の「姿勢」を邦訳したと伝えられています。
Körperは英語でBody(肉体)、haltungはPosture(カラダの構え)です。日本語で「姿勢」となった今では、カラダの構えに加えてココロの構えをもあらわすたいへん意味深い合い言葉へと成長しました。
ちなみに英訳では
Körper は BODY、
haltung は POSTURE
となるようです。
これ以前には、所作・立ち居振る舞い・行儀などといった微妙に概念の異なるさまざまな言葉で、その時々の状況に応じた表現がなされていたようです。
もちろん今でも、姿勢と他の言葉の真義は異なりますが、時々の流れや日本人の心底で脈づく汎神的な自然観の影響を受けつつ、現代の姿勢という言葉の中には他のさまざま言葉の意味合いが大なり小なりに融合されています。
邦訳された直後は「からだ」という意味合いが少々濃厚であった「姿勢」という言葉は、そののち「所作」「行儀」「礼儀」「立ち居振る舞い」「身心一如」といった姿勢という言葉の成立以前に活躍していた数々の言葉や、日々の暮らしを取りまく大自然の律動を影響を受けながら、ごく自然に「こころ」や「精神」といった言葉をも内包していったようです。
現在に至っては、日本人の多くがすでに承知するように、姿勢という言葉の意味合いは、からだやこころの構えや様子のみならず、その背後を支える精神、さらには組織・団体・社会といった何らかの集団の構造・様相・態度といったところまでもを内包するような言葉へと成長し続けています。
●姿勢に影響を与えたと考えられる日本語とは
- 所作(しょさ)
仏教用語の能作(身口意)が発動した結果の動作や行為
- 行儀(ぎょうぎ)
もとは仏教の修業や実践に関する規則のこと
- 礼儀(れいぎ)
社会生活の秩序や円滑な人間関係を保つための行動規範
- 作法(さほう)
物事を行う際の慣例的なしきたり
- 立ち居振る舞い(たちいふるまい)
立ち座りなどを代表する日常の起居動作
- 身心脱落(しんじんだつらく)
からだやこころから解放された状態
- 身心一如(しんじんいちにょ)
身と心は一体であること
参考引用:広辞苑・大修館四字熟語辞典・明鏡国語辞典
●姿勢が斉うことの効果
◇からだ的効果
- 側弯症。変形性関節症などといった姿勢関連疾患の早期回復
- 姿勢関連疾患の軽減〜改善〜解消
- 運動技能の高まり
- 運動出力の高まり
- スポーツ障害の予防、軽減
- スリーサイズの改善
- 側弯症の軽減〜改善〜解消
- すっきりとした首筋
- O脚、X脚、外反母趾、大根足など脚部異常の軽減〜改善〜解消
- 洗練された立ち居振る舞いが身につく
◇こころ的効果
- こころの不調の改善・解消
- 不安定なこころの落ち着き
- すみやかな集中力の回復
- 他者との親和性の高まり等
◇生活リズム的効果
- 睡眠と活動の加減よいバランスを得る
- 摂食と排泄の加減よいバランスを得る
- 学業(仕事)と遊休の加減よいバランスを得る
- 一年を通じての加減よい生活リズムのバランスを得る等
●自然(しぜん)なる姿勢を目指す
姿勢が常にととのっていることが正しいわけではありません。
かといって、歪んでいればよいというのでもありません。 整ったり歪んだりのバランスが肝要なのです。
自然の律動は、ふたつのバランスがほどよくとれることで、健やかな命が育まれていることを教えてくれます。
「自然」とは、そんな自然の働きを端的にあらわした言葉です。整い続けることでも歪み続けることでもなく、 全体の均衡がほどよくとれていく状態、それが自然です。
そのような自然の律動を素直に受けとめた、美しく心地よく生命感にあふれた姿勢を意味すると同時に、 自然なる姿勢作りの実践法を、美しく、心地良く、生命力にあふれた健康づくりをモットーにした活動を目指します。
●目からウロコ
「姿勢がゆがむ」=「姿勢は真っすぐでないとダメ」と、頭の中にインプットされていた情報は、ひとまず横に置いておきましょう。
人間はロボットではありません。
一人一人ちがう身体を持ち合わせています。
固有の身体のゆがみ・ひずみは身体の中の信号の発信であり表現であると謙虚にとらえて、静かに慌てずに良く観察しましょう。
まずは、自分を良く観て知る!
ここから、次に行う事が発見できます!
●どうすれば?
まず、主軸*を感じた姿勢づくりを知る!
「健康」「容姿」「精神」「運動能力」などに関する多くの問題は、 姿勢のひずみから始まりそして姿勢を改善していくことで解決していきます。
*主軸(しゅじく)とは
一の軸、二の軸、三の軸、中心軸という横軸三本と縦軸一本の軸をあわせると、漢字の『主』という文字が浮かび上がってきます。
これを姿斉では『主軸』とよんでいます。
- ・中心軸
- 頭頂点と骨盤底の中心点を結んだ仮想垂直軸
- ・一の軸
- 両股関節骨頭中央部を結んだ仮想運動軸
- ・二の軸
- 両上腕骨骨頭中央部を結んだ仮想運動軸
- ・三の軸
- 両耳たぶ後方を結ぶ仮想運動軸
●さらに
「くつろぎ体操」を身につける
まず、主軸*を感じた姿勢づくりを知る!
「くつろぎ体操(姿斉)」という名前をお聞きになったことはありますか。
くつろぎ体操(姿斉)は、ゆび組み・うで組み・あし組み・背伸び・横すわり・・・など、わたしたち誰もが、日頃から繰り返しおこなっている何気ないしぐさや動きクセを活用した、無理のない、しかも一人でできる画期的な姿勢改善体操です。
(専門的には姿斉(しさい)と呼ばれています)
「主軸」を身につけると同時に、「くつろぎ体操(姿斉)」を自分自身でおこなうことで、他の人の手ではどうにもならなかったほどの姿勢のゆがみが、無理なく心地よく改善されていきます。
<姿斉へ>
●三つの姿勢
日本語の「姿勢」は、
たんに英語で言うPOSTUREではない。
そこには少なくとも三つの意味が含まれている。
一つには身体の姿勢
二つには心思の姿勢
三つには精神の姿勢
日本語の「姿勢」を、こうした三つの意味を内包しています。
1 身体の姿勢(Body/Physical)*1
1.1 動的
1.2 視覚的
1.3 表面的
2 心思の姿勢(mind/Mental)*2
2.1 静的
2.2 反視覚的
2.3 裏面的
3 精神の姿勢(Spirit/Chemical)*3
3.1 双静動的
3.2 双視無視的
3.3 双表裏的
- *1 身体とはワタシの物理的要素
- 例えば、パソコンのハード
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- *2 心思とはワタシの思考的要素
- 例えば、パソコンのソフト
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- *3 精神とはワタシのエネルギー的要素
- 例えば、パソコンを起動させる電気
- 精神という言葉に不慣れなうちは「生活」という言葉に置きかえると理解しやすい
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